家族滞在ビザについて徹底解説:家族を呼び寄せ可能な在留資格と高校卒業後の在留資格変更制度まで
こんにちは。IAFJ行政書士事務所です。
日本で暮らす外国人の皆様にとって、ご家族と一緒に日本で生活を送ることは非常に大切なテーマです。その中でも、外国人本人が日本で就労・留学などをしている場合に、配偶者や子どもを呼び寄せる手段として用いられるのが「家族滞在」ビザ(在留資格:家族滞在)です。
今回は、この「家族滞在」ビザについて、取得可能な条件から申請に必要な書類、さらには高校卒業後の子どもの進路に関する在留資格変更制度まで、最新情報をもとに詳しく解説いたします。
■ 家族滞在ビザとは?
「家族滞在」ビザは、日本で有効な在留資格を持って在留している外国人が、その配偶者または子を日本に呼び寄せ、共に生活するための在留資格です。あくまでも「扶養を受ける」ことが前提となるため、配偶者・子が主たる在留者の経済的支援を受けていることが必要です。
対象となる家族は以下の通りです:
- 法律上の配偶者(婚姻が有効に成立していること)
- 実子または養子(扶養関係にあること)
内縁関係、事実婚、同性パートナーなどは原則として対象外となります。外国人同士の同性婚の方は「特定活動」として在留ができる可能性があります。
■ 家族滞在ビザで呼び寄せ可能な在留資格一覧
以下の在留資格を持つ外国人は、配偶者・子を家族滞在ビザで呼び寄せることが可能です:
- 教授/芸術/宗教/報道/高度専門職/経営・管理/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術・人文知識・国際業務/企業内転勤/介護/興行/技能/特定技能2号/文化活動/留学
これらの在留資格は、一定の就労または活動の継続を前提としており、帯同する家族の滞在が制度上認められています。
これ以外の在留資格を持つ方は、原則として「家族滞在ビザ」での呼び寄せは認められていませんが、一部「特定活動」としてデジタルノマドの配偶者など、家族滞在に相当するものも存在します。
■ 家族滞在ビザの在留期間と更新
家族滞在ビザの在留期間は、主に6か月・1年・3年・5年のいずれかです。実際には主たる在留者の在留期限と連動することが多く、最長でもそれを超える期間での許可は原則ありません。
更新申請においては、以下の点が審査対象となります:
- 主たる在留者が引き続き在留資格を保持しているか
- 扶養関係が継続しているか
- 同居の実態があるか
- 経済的に安定した生活ができているか
■ 家族滞在ビザでの就労
家族滞在ビザでは原則は就労が禁止されていますが、資格外活動許可を取得することによって留学ビザと同じように週28時間までの就労が認められるようになります。この許可は包括許可になりますので、就労先が未定でも申請さえすれば許可をとることが可能です。一方で、個人事業を行うなど客観的に就労する時間のカウントが困難な場合は包括許可ではなく、個別許可をとる必要があります。別途ご相談ください。
■ 高校卒業後の家族滞在者の扱い
法務省は「家族滞在」の在留資格で滞在している子どもが日本の高等学校等を卒業した場合の取り扱いについての在留資格の変更についても明示しています。
次の条件を満たす場合に限り、家族滞在から「定住者」または「特定活動」への在留資格の変更が認められる可能性があります:
【変更の前提条件】
- 日本国内の高等学校等を卒業していること
- 就労先が決定していること(内定を含む)
大まかなイメージではこの2点がそろって初めて、以下いずれかの在留資格へ変更可能となります。
日本の義務教育(中学)を修了しているか | 変更先在留資格 |
修了している場合 | 定住者 |
修了していない場合 | 特定活動 |
つまり、どちらになるかは「日本の義務教育(中学校)を修了しているか否か」によって決まります。出身国の教育歴は関係ありません。
また、いずれのケースでも「就労先の内定」が必須です。「働きたいと思っている」「就職活動中」といった状況では変更は認められません。
その他の細かい要件の違いなどはこちらのリンクを参照して下さい。
■ 注意点と実務上のポイント
- 進学(大学・専門学校等)を希望する場合は、「留学」への変更が必要です。
- 高校卒業後に何も進路が決まっていない場合は、家族滞在の延長も在留資格変更も原則認められません。
- 就労先が決まっていても、労働条件通知書、内定通知書、雇用契約書などの証明書類の提出が必要です。
- 義務教育の修了は、日本の小学校及び中学校を卒業しているかで判断されます(夜間中学も含む)。
■ まとめ:卒業後を見据えた計画と専門家のサポートが鍵
家族滞在ビザは、外国人の家族が日本で安定した生活を営むための大切な在留資格ですが、特に子どもが高校を卒業するタイミングでは、適切な進路と在留資格の選択が重要になります。
IAFJ行政書士事務所では、卒業後の進路計画を見据えたビザ戦略、在留資格変更申請書類の作成などをトータルでサポートしております。
「まずはとにかく本国に住む家族を呼び寄せたい」、「高校卒業後、日本で働きたいけれど何から始めたらいいかわからない」、「定住者と特定活動の違いを具体的に知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。