日系3世のためのビザとは?「定住者」の要件・日系2世との違い・メリットを解説
祖父母が日本人の日系3世は、日本で在留資格「定住者」を取得できる可能性があります。日系2世との違い、必要な戸籍・出生証明書、日本語能力、就労、家族、永住まで、日系3世のビザについて行政書士がわかりやすく解説します。
祖父母が日本人なら、日本に住むためのビザを取れる?
「祖父または祖母が日本人だった。自分も日本で暮らすことができるのだろうか?」
日系3世の方にとって、まず気になるのはこの点ではないでしょうか。
結論からいうと、日系3世は、日本との血縁関係を理由として在留資格「定住者」を取得できる可能性があります。
「定住者」は、仕事内容を基準として与えられる一般的な就労ビザとは異なり、身分や地位に基づく在留資格です。
そのため、取得後は原則として仕事の種類に制限がなく、日本で幅広く働きながら生活することができます。
日系2世と日系3世では、在留資格はどう違う?
日系人の在留資格で、特に分かりにくいのが日系2世と日系3世の違いです。
典型的なケースを整理すると、次のようになります。
| 世代 | 日本人との関係 | 主な在留資格 |
| 日系1世 | 日本から海外へ移住した日本人 | 日本人 |
| 日系2世 | 日本人である1世の外国籍の実子 | 日本人の配偶者等 |
| 日系3世 | 日系2世の実子、日本人の孫 | 定住者 |
| 日系3世の外国人配偶者 | 日系3世と結婚した外国人 | 定住者 |
「日系2世なのに、なぜ『日本人の配偶者等』なの?」と思う方も多いでしょう。
在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人と結婚した外国人だけを対象としているわけではありません。「日本人の子として出生した者」も対象に含まれています。
そのため、日本人である父または母の子として生まれ、本人が外国籍である場合、典型的な日系2世として「日本人の配偶者等」に該当します。
一方、その日系2世の子、つまり**日本人の孫にあたる日系3世は、原則として「定住者」**になります。
簡単に整理すると、
日本人の子=日系2世 →「日本人の配偶者等」
日本人の孫=日系3世 →「定住者」
と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、日系1世が日本国籍を離脱した後に日系2世が出生した場合など、日系2世でも「定住者」になるケースがあります。
そのため、実際の申請では単に「何世か」だけでなく、親や祖父母がいつ日本国籍を有していたのかを戸籍などで確認することが重要です。
日系3世であることをどうやって証明する?
日系3世の申請で最も重要なポイントの一つが、日本人の祖父母から自分までの家族関係を公的書類で証明することです。
基本的には、
日本人の祖父母
↓
その実子である父または母(日系2世)
↓
申請人(日系3世)
という3世代のつながりを証明します。
そのため、日本の戸籍謄本・除籍謄本、外国で発行された出生証明書、婚姻証明書などを組み合わせて提出します。
実際には、
「祖父が日本人だったことは分かるが、本籍地が分からない」
「日本の戸籍と外国の証明書で氏名の表記が違う」
「結婚などによって姓が変わっている」
といったケースもあります。
日系3世の申請では、祖父母から本人までの血縁関係を、書類上途切れることなくつなげることが非常に重要です。
日系3世の「定住者」を取得するための基本的な要件は?
血縁関係を証明するだけでなく、日本で安定して生活できる見込みがあることも審査されます。
本人が日本での滞在費用を負担する場合には、本人名義の預貯金残高証明書に加えて、日本の会社が発行した雇用予定証明書や採用内定通知書などを提出します。
また、日本に滞在費用を負担する人がいる場合には、その人の収入や納税状況を示す資料を提出します。
さらに、日本に居住する日本人または永住者による身元保証に関する書類や、申請人の本国の機関が発行した犯罪経歴証明書なども必要になります。
外国語で作成された出生証明書や婚姻証明書などには、日本語訳を付けて提出します。
日本語が話せなくても日系3世のビザは取れる?
日本語ができないことだけを理由に、日系3世の「定住者」を取得できないという制度ではありません。
ただし、成人の日系3世が**在留期間「5年」**を希望する場合には、日本語能力を証明する資料が求められます。
例えば、日本語能力試験JLPTのN2、一定以上の成績を取ったN3、BJTビジネス日本語能力テスト、日本語教育機関での学習歴などが証明方法として定められています。
したがって、
「定住者を取得できるか」という問題と、「5年の在留期間を認めてもらえるか」という問題は分けて考える必要があります。
日系3世の「定住者」にはどんなメリットがある?
最大のメリットは、仕事の種類に原則として制限がないことです。
例えば「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格では、本人の学歴・職歴と仕事内容との関連性などが審査されます。
一方、「定住者」では職種による就労制限がありません。
会社員として働くことはもちろん、飲食業、販売、製造業、サービス業など幅広い仕事に就くことができます。
また、自営業や会社経営を行うことも可能です。
転職する際にも、一般的な就労ビザのように「新しい仕事内容が現在の在留資格に該当するか」を常に気にする必要がありません。
日本で長く生活しながら自由にキャリアを築きたい方にとって、非常にメリットの大きな在留資格です。
配偶者も一緒に日本へ移住できる?
日系3世本人だけでなく、日系3世の外国人配偶者も「定住者」を取得できる可能性があります。
そのため、「自分には日本人の祖父母がいるが、配偶者には日本との血縁関係がない」という場合でも、夫婦で日本への移住を検討することができます。
日系3世から永住者になることはできる?
「定住者」として日本で生活した後、一定の要件を満たせば「永住者」を目指すこともできます。
永住許可には原則として長期間の日本在留が必要ですが、「定住者」には在留期間に関する特例があり、「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留していることが一つの基準となります。
ただし、5年間住めば自動的に永住許可が認められるわけではありません。
安定した収入、納税状況、年金・健康保険などの公的義務の履行、素行なども審査されます。
将来的に日本を生活の本拠としたい場合には、最初の「定住者」取得だけでなく、その後の更新や永住申請まで見据えて生活基盤を整えていくことが重要です。
日系3世の申請は「自分が対象になるか」の確認から
日系3世の「定住者」は、一般的な就労ビザと比較しても自由度が高く、日本で長期的に生活したい方にとってメリットの大きな在留資格です。
一方、申請の出発点となるのは、自分が本当に日系3世に該当するのかを公的書類で確認することです。
「祖父母の誰かが日本人だったらしい」
「昔、日本から海外へ移住したと聞いている」
「日本姓だったことは分かるが、戸籍が手元にない」
という段階であれば、まず祖父母の戸籍を確認し、父母、本人までの家族関係を整理する必要があります。
IAFJ行政書士事務所では、日系3世に該当するかという事前確認から、日本の戸籍・海外の出生証明書や婚姻証明書の整理、日本語訳、在留資格認定証明書(COE)の申請まで対応しています。
「自分は日系3世に当たるのか」「日本人だった祖父母の戸籍をどう探せばよいのか」という段階からでも、ご相談ください。


