永住許可における「我が国への貢献」とは

永住許可における「我が国への貢献」とは

 

永住許可の取得は、多くの外国人にとって日本での生活を安定させる重要なステップです。しかし、通常の永住申請には10年以上の継続在留など、厳格な条件が課されます。

そんな中で要件緩和の特例となる、「我が国への貢献」に関する基準については理解が難しい場合があります。本記事では、永住許可申請における「我が国への貢献」とは何か、その具体的な基準や該当する活動例について詳しく解説します。

永住許可を取得するためには、一般的に以下の要件を満たす必要があります:

  1. 素行が善良であること:日本の法律を遵守し、社会的に非難される行為を行っていないこと。
  2. 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること:安定した収入や資産があり、生活基盤が確立していること。
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること:通常、10年以上継続して在留していること(うち5年は就労資格または居住資格で在留していること)

しかし、「我が国への貢献」が認められる場合、在留期間の要件が緩和されることがあります。具体的には、5年以上日本において社会生活上問題を生じさせることなく滞在し、以下のいずれかに該当する場合です

 

分野別の具体的な基準

「我が国への貢献」は多岐にわたる分野で認められています。以下に主な分野と具体的な基準を示します

  1. 各分野共通

・国際的または国内的な賞の受賞:ノーベル賞・フィールズ賞や文化勲章や褒章など、国際機関や日本政府から権威ある賞を受けた場合。

・公共の利益を目的とする活動への従事:日本政府や地方自治体から委員等として任命され、公共の利益を目的とする活動をおおむね3年以上行った場合。

・職業活動を通じた貢献:医療や教育などの職業活動を通じて、日本社会や地域活動の維持・発展に多大な貢献をした場合。

  1. 外交分野
  • 外交使節団や領事機関の構成員としての功績:日本と派遣国との友好や文化交流の増進に寄与した場合。
  • 国際機関での高位職務経験:日本が加盟する国際機関の事務局長や次長として勤務した経歴を有する場合。
  1. 経済・産業分野
  • 企業経営への貢献:日本の上場企業や同等の規模の企業の経営におおむね3年以上従事し、その間に日本の経済や産業の発展に寄与した場合。
  • 投資活動による貢献:日本国内の企業経営におおむね3年以上従事し、その間に継続して1億円以上の投資を行った場合。
  • 先端技術者としての貢献:高度な技術者として、日本の産業の発展に多大な貢献をした場合。

など我が国の産業の発展に寄与した場合

  1. 文化・芸術分野
  • 権威ある賞の受賞:ベネチア・ビエンナーレ金獅子賞やアカデミー賞、高円宮殿下記念世界文化賞など、文化・芸術分野で権威ある賞を受けた場合。
  • 指導者としての活動:文化・芸術分野で指導的地位にあり、おおむね3年以上日本で活動し、日本の文化向上に貢献した場合。
  1. 教育分野
  • 高等教育機関での教育活動:日本の大学などで常勤の教授や准教授、講師としておおむね3年以上教育活動に従事し、日本の高等教育の水準向上に貢献した場合。
  1. 研究分野
  • 研究活動での顕著な成果:研究成果が学術雑誌に掲載され、他の研究者から引用されるなど、顕著な成果を挙げた場合。
  1. スポーツ分野
  • 国際大会での功績:オリンピックや世界選手権などで上位入賞し、日本においてスポーツの指導や振興に寄与した場合。
  1. その他の分野
  • 社会・福祉分野での貢献:日本社会の発展に寄与し、全国規模の選抜の結果として賞を受けた場合。
  • 公益的活動への従事:日本における公益的活動を通じて、社会や福祉に多大な貢献をした場合。

 

申請時の注意点

「我が国への貢献」を理由に永住許可を申請する場合、以下の点をしっかりと把握し、準備を進めることが重要です。

  1. 証拠書類の準備

申請において、貢献を裏付ける証拠書類を十分に準備する必要があります。具体的には以下のようなものが求められることが考えられます:

  • 表彰状や賞状の写し
    国際的または国内的な賞の受賞歴を示す公式文書。
  • 職務経歴証明書
    職業活動による貢献を証明するため、過去の雇用主や取引先からの証明書。
  • 活動記録や報告書
    学術活動や公益活動の内容を示す報告書、論文、または発表記録。
  • 推薦状
    所属機関の代表者等が作成した、活動の成果や影響を証明するための推薦状。
  • メディア掲載記事
    活動が新聞や雑誌などで取り上げられた場合、その記事のコピー。
  1. 活動期間の確認

貢献の基準として「おおむね3年以上」とされる場合が多いですが、活動期間が明確でない場合は審査で不利となる可能性があります。そのため、活動開始日および終了日を明確に示した文書を準備することが重要です。

  1. 継続性のアピール

貢献が一時的なものではなく、継続的であることを示すことが求められます。例えば、定期的な活動報告や長期的なプロジェクトへの参加記録を提出することが推奨されます。

  1. 法務省のガイドラインの確認

永住許可の判断基準は法務省が発表しているガイドラインに基づいて行われます。最新の情報を随時確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。また、入管のウェブサイトには我が国への貢献による永住許可・不許可事例も公開されています。ご自身の状況に照らし合わせてチャンスがありそうか参考にしてみて下さい。

 

永住許可申請成功のポイント

「我が国への貢献」を理由に永住許可を申請する際、以下のポイントを押さえることで、成功率を高めることができます。

  1. 具体的かつ明確な申請内容

申請書や添付資料では、申請者の活動内容や成果を具体的に記載することが重要です。抽象的な表現ではなく、数値や事例を用いて成果を説明することで、審査官に活動の重要性を伝えることができます。

  1. 一貫性のある証拠

提出する証拠書類に矛盾がないよう注意してください。例えば、職務経歴証明書と実際の活動内容が一致していない場合、申請が却下される可能性があります。過去の在留とも矛盾がないことは当然です。

  1. 信頼性の高い推薦状

信頼性の高い第三者からの推薦状は、審査において重要な役割を果たします。推薦者として適切な立場にある人物(大学教授、上司、行政機関の代表者など)を選び、具体的な内容を記載してもらうよう依頼しましょう。

おわりに

「我が国への貢献」による永住許可申請には、十分な準備が求められます。しかし、貢献の内容が明確であり、適切な証拠書類が揃っていれば、成功の可能性は高まります。

もし永住許可の申請についてお悩みの場合は、専門家である行政書士にご相談ください。当事務所では、申請に必要な書類の準備から、申請書の作成、提出手続きまで一貫してサポートいたします。一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください

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